菌糸の森のコウイカさん、ヤリイカさん

kaeru_icon_5.jpg いそのん劇場アーカイブ
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【菌糸の森のコウイカさん、ヤリイカさん】2020年12日13日(日)
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この場を借りて白状すると、創り手の礒野本人が、私物として一番たくさん手元に残してあるのがこの作品【菌糸の森のコウイカさん】(2004年デビュー)【菌糸の森のヤリイカさん】(2007年デビュー)。

今回のいそのん劇場では、いそのん所蔵のイカさんたちを見ていただきながら、この作品の背景にある考え方や作品のモチーフと関係のあるコレクションを楽しんでいただこうと思います。

この作品をつくりあげているのはそれぞれに魅力的なモチーフ。
軟体動物頭足類といういかにも不思議ないきもの。
蟲に寄生してはえてくるちょっと怖いキノコ。
食べ物を探して動きまわり、やがては美しい子実体という姿になって固まる粘菌類。
この奇妙な魅力をもつもののとりあわせであるこのガラスの塊は、それだけで自分にとって宝物です。

でも実はこの作品の根底には、「自分の身体の中は他の生き物の宇宙(スペース)である」というテーマがあります。
自分の皮膚や口の中や腸内で無数の細菌類が一生を過ごしているということは、自分が彼らにとって、とても大切な存在でありアパートであり地球であるゆえ、それを意識することで、自分の存在価値の大きさに満ち足りた幸せを味わえると私は思うのです。

さらに言うと自分の身体や自分の一生が、自分だけのものではない、自分の身体に棲むたくさんの命と共同所有するものであり、そしてもしかしたら、今日の晩ご飯に食べたいものすら、自分だけの意識ではなく腸内細菌との共同意思かもしれない。
そんな想像でぞくぞくと楽しむのも一興だと思うのです。

本日の展示の詳細は...
そんな礒野をしげきした冬蟲夏草や細菌類の本と、山中や神社の境内であつめてきた標本。
そして、ケロ画伯と私自身によるイラスト。
加えて、今月登場の最後からふたつめの【百年サナギ】です。

作品や資料は触ってじっくり味わっていただけると本望です。
本もご自由にぜひ手に取って読んでみてください。
そして本日の展示がまたひとつ皆様の人生の楽しみを増やしますように。

2020年12月 礒野昭子

2020/12/25 22:33 Update
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